かれこれ親父に連れ回され、週末の浅草場外通いも半年が過ぎます。
ですが、我が親父さま、儲かった気配が感じられません。半年間ずーっと。
親父が使っていた専門誌は、「勝馬」と「1馬(現在の優駿)」そして
デイリースポーツの夕刊。
なんで3紙も使用するのか小学校低学年の自分には全くわかりませんでした。
そんな親父が口にするのは「1600mの13頭出しで、1枠に単勝2倍以下の馬が
いるときは、本命枠の1から 1―2、1-5、1-8、穴で影筋の4-7。
1枠に単勝2倍以上の馬がいるときは、隣りの2枠から 1-2、2-4、2-7
穴で影筋の3-6」
最初、「親父は長い馬券経験の末に、必勝法を確立しているのか」と尊敬
していましたが、その通りに当たりませんので尊敬は軽蔑になっていきます。
当たっても全レースやって1レースくらい。それもガミ。
当時、浅草場外のすぐ近くにカレーライスが旨い喫茶店がありました。
店名を書けば、このブログを読まれて懐かしむ方もおられましょう。
しかし、固有名詞は一応伏せます。有名なクラシックレース名が店名の
喫茶店といえば分かる方には分かるはずです。
この喫茶店が私たち親子の主戦場です。開店と同時に入店し、メインレース
まで居続けます。馬券購入時に親父が席を離れますので、その間は私が席の番
をします。まぁ常連ですので、新聞を席においておけば、席をはなれてもテーブル
を片づけられることはないのですが。
そして、その日も、普段通りに親父は席を離れ馬券を買いに場外に行きます。
何気なく親父が席に残した専門誌勝馬の間に、なにやら見慣れない、そして
怪しい小冊子がありました。
「出目馬券 完全データ」
中を除くと「1600mの13頭出しで、1枠に単勝2倍以下の馬がいるときは、
本命枠の1から 1―2、1-5、1-8、穴で影筋の4-7・・・・・」。
もちろん距離と出頭数、人気枠ごとにページが構成されています。
しかし、小学生にも「これは違うよ」と感じさせるものがありました。
1200mは1000、1150、1200、1300に使える。
1600mは1400、1500、1700に使える。
2000は1800、2100、2200に使える。と但し書きあるのです。
芝とダートの区別もなく、牝馬、牡馬の区分けもなし。
東京と中山の差もなければ、良と重の区分けもありません。
小学生低学年ともなれば、好奇心のかたまりです。半年も毎週場外に
来ていれば、競馬にも興味を持ち、見えてくるものがあります。
こんなものを信じて、親父は格言のようなことを言っていたのか!
しかも小冊子の表紙には定価50000円の表示。
小学校3年生の自分が親父を責めます。
ショウケイ:
「距離の線引きが大まかだし、そもそも根拠がわからない本だよね」
親父さま:
過去10年間の全レースの集計本なんだよ。
ショウケイ:
「その集計とやらで、当たり方が少ないと思わない?、大体一番人気って
締切直前で変わるし、倍率も動くよね」
親父さま:
だから新聞3紙使っている。勝馬で1番人気となっていても、
1馬やデイリーでは、違う馬が一番人気なると書いてあることがある。
3紙で2紙または3紙全部が1番人気になるという馬を1番人気に
おいて軸にしているんだ。
勝馬で1番人気と思って買ったら1馬では一番人気でなかったりしたら
軸が変わるから。
ショウケイ:
「じゃあ、単勝の倍率は」
親父さま:
3紙の予想オッズを足して3で割った。
ショウケイ:
「だいたい過去10年の集計っていうけど、信じているの?本当に
集計したと思う?」
親父さま:
お前は、集計なんか嘘っぱちと思うのか?
ショウケイ:
「だって、どうやってそんな記録を調べられるの。
中央競馬に聞けば教えてくれるの。それに50000円もするなら、
外れたときに売ってる本屋さんに苦情がいくはずだよ。」
親父さま:
確かに、記録を聞ける所ってないな。なんか分厚い本とか
ありそうだけど、馬の成績くらいで、レース結果とは違うしな。
それと、この本は本屋さんでは売ってない。
友達の友達から、中身を全部写したからと安く譲ると言われて
20000円で買いとった。
・・・なぁ、俺、ダマサレタノカ?
親父の良いところは、たとえ小学生の倅からでも、理論的に
言われると、親父としてのプライドなど捨てて真摯になるところ。
親父さま:
お前の言うことの方が正しそうだな。じゃあ、今後は当てるの
手伝ってくれよ。
素直すぎる反面、すぐ倅に頼るところは悪いところです。
その一言で、私の競馬予想8歳から開始するはめになったのですから。
ところで、話は戻って、「出目馬券 完全データ」なる小冊子。
小学生でもわかる中身の嘘っぱちさ、そんな偏った出目はないという
見え透いたものでしたが、巻末の「馬券の十訓」のページだけは、
参考になりました。
当の親父さまは全く無視していたページですが、昭和の馬券では
割と必要なことが書かれていたのを覚えています。
その部分は切り取って、コピーして10年くらい前まで保管してましたから。
まぁ、十訓といいながら10件ではなく13件の格言になっているのも
書かれているところは笑えますが。
一応、ここで謝っておきます。このような小冊子は昭和45年から昭和末期
まで存在していました。中にはしっかりデータどりされて書かれたものも
あるかと思います。ですが、私が親父さまから取り上げた小冊子は、
本当にダメダメな中身だったのです。作った方、否定してすみません。
話を十訓に戻しましょう。
十訓の上に、こう書いてあります。
出目データで購入しても当たらない。そういうこともあります。
そのために、この十訓を参考に保険馬券を買いましょう。
なんか許せる感じがします。
さて保険の13件の十訓です。
・格上騎手へのテン乗りは買い(単)
・芝の重馬場勝ち馬のダート出走は買い(複)
・芝からダート替わりして2戦目もダートなら買い(軸)
・3か月以内の休養明け初戦で体重もどれば買い(複)
・夏場休養したら2戦目が買い(軸)
・4か月以上の休養明けは叩き2戦目を買い(軸)
・連闘は体重維持できていれば買い(複)
・パドック大回り馬は買い(複)
・ゴールを過ぎても騎手が追っていたら次走は買い(単)
・前走より斤量マイナス3㎏は買い(複)
・逃げ馬3頭いたら追い込み馬を買い(複)
・休養とらない有力馬が平場にでたら買い(単)
・鼻の穴が大きな馬は買い(複)
このような昭和のエピソードを綴っていきますので
読みに来ていただければと思います。
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